セラミックベアリングとは?特徴や用途、他種との違いについて徹底解説
セラミックベアリングは、その革新的な材料選択により、産業界全体に革命をもたらしています。 シリコン窒化物、ジルコニア、アルミナなどのセラミック材料を用いることで、従来の金属製ベアリングでは成し得なかった耐熱性、耐腐食性、自己潤滑性を実現しました。
これらの特性により、高速回転が必要な機械、高温や腐食性環境下での使用、さらには清浄な環境を要求される医療機器や半導体製造装置など、幅広い用途での利用が可能になります。
金属製やフルセラミック製ベアリングと比較して、セラミックベアリングはその独特な利点で特定のアプリケーションにおいて圧倒的な性能を発揮します。 この記事では、セラミックベアリングの特徴、用途、および他種との違いについて徹底解説します。
セラミックベアリングの概要
セラミックベアリングとは、セラミック材料(シリコン窒化物やジルコニア)で作られた軸受のことです。
非常に硬く、耐熱性、耐腐食性に優れ、極端な温度や腐食性環境下での使用に適しています。重量が軽く、長寿命なのも特徴です。
特徴
耐熱性
高温環境下でも性能が落ちにくく、材料の劣化が少ない。
耐腐食性
化学薬品や水による腐食を受けにくい。
高硬度
金属ベアリングよりも硬く、耐摩耗性が高い。
非磁性
磁場を発生させず、磁気を帯びないため、電子機器周辺での使用に適している。
絶縁性
電気を通さないため、電気絶縁が必要な場合に有効。
これらの特性により、セラミックベアリングは航空宇宙、化学処理、医療機器、高性能レースカーなど、特殊な環境や要求性能が高い分野での使用に特に適しています。
欠点
高コスト
製造プロセスが複雑で、高品質のセラミック材料が必要なため、同等サイズの金属製ベアリングに比べて価格が高くなります。
衝撃感受性
セラミックは非常に硬い反面、靭性が低いため、衝撃や過度の荷重がかかると割れや欠けの原因になりやすいです。
加工難易度
セラミックの硬度が高いため、形状やサイズの精密な加工が困難で、製造コストをさらに増加させます。
互換性
すべてのアプリケーションや環境で金属製ベアリングからセラミックベアリングに簡単に置き換えられるわけではなく、設計や使用条件の見直しが必要になる場合があります。
これらの欠点があるにもかかわらず、その独特の性能特性により特定の高要求アプリケーションではセラミックベアリングが重宝されます。
使用用途
航空宇宙産業
高温や極端な環境下でも性能を維持する必要があるため、航空機のエンジンや宇宙船の部品に使用されます。
医療機器
耐腐食性と清潔性が求められる医療機器や外科用具に適しています。
MRIなどの磁場の影響を受けやすい機器にも非磁性であるため適用されます。
化学処理装置
化学薬品や腐食性液体が扱われる環境でのポンプやバルブに使用され、耐腐食性が要求される場合に選ばれます。
食品加工機械
衛生的で清潔な環境が必要な食品加工分野で、汚染のリスクを減らすために使用されます。
自動車産業
特にレースカーなどの高性能車両では、軽量で高速回転に耐えられる性質が求められ、エンジン部品やホイールのベアリングに採用されます。
電気・電子機器
絶縁性が必要な電気モーターや発電機の部品に使用され、電気的な干渉を防ぎます。
高速回転機器
セラミックベアリングの低摩擦特性は、高速で動作する機器の熱発生を抑え、性能を向上させます。
これらの用途は、セラミックベアリングが提供する特有の耐久性、耐熱性、耐腐食性などの利点を活かしたものです。
高コストや一部の制限があるにもかかわらず、これらの特性が必要な特定のアプリケーションでは非常に価値が高いとされています。
他種ベアリングとの違い
セラミックベアリングと他の種類のベアリング(主に金属製ベアリング、スチールやクロム鋼製)との主な違いは、材料の性質に起因します。
以下に、セラミックベアリングと金属製ベアリングの比較を示します。
材料
セラミックベアリングはシリコン窒化物、ジルコニア、アルミナなどのセラミッ
ク材料で作られています。
金属製ベアリングはスチール、クロム鋼、ステンレス鋼などの金属材料で作られています。
耐久性と寿命
セラミックベアリングは非常に硬く、耐摩耗性が高いため、長寿命を実現します。
金属製ベアリングは、摩擦や摩耗による劣化が比較的早く進むことがあります。
耐熱性
セラミックベアリングは高い耐熱性を持ち、高温環境下でも性能が大きく低下しない。
金属製ベアリングは、温度が上昇すると膨張しやすく、性能が低下する可能性があります。
耐腐食性
セラミックベアリングは化学的に安定しており、腐食に強いです。
金属製ベアリングは、腐食による損傷のリスクが高い環境では保護措置が必要になることがあります。
重量
金属製ベアリングは重く、同じサイズのセラミックベアリングに比べて慣性が大きいです。
価格
セラミックベアリングは製造コストが高く、価格も金属製ベアリングに比べて高価です。
金属製ベアリングは一般に製造コストが低くより経済的です。
これらの違いによりセラミックベアリングは特定の高要求アプリケーションで優れた選択肢となりますが、コストや衝撃に対する脆さなどの点を考慮する必要があります。
一方で、金属製ベアリングは広範な用途に対してコスト効率が良く、汎用性が高い選択肢として広く利用されています。
中国製ベアリングについて
中国製ベアリングは、グローバル市場において重要な役割を担っています。
中国は世界最大のベアリング製造国の一つであり、低コストで大量生産が可能な製造基盤を持つため、多種多様なベアリングを世界中に供給しています。
特徴
コスト効率
中国製ベアリングは製造コストが低いため、非常に競争力のある価格で提供されます。これは、生産設備の大規模化や効率的な生産プロセス、低い労働コストによるものです。
製品範囲
小型から大型、標準的なものから特殊な用途に適したベアリングまで、幅広い製品ラインナップを持っています。自動車、工業機械、電子機器など、さまざまな業界向けの製品が製造されています。
品質の向上
かつては品質に対する懸念がありましたが、近年では多くの中国製ベアリングメーカーが品質管理に力を入れ、国際基準に準拠した製品を市場に送り出しています。ISO認証を取得している企業も多く、品質面での信頼性が向上しています。
考慮すべき点
品質のばらつき
製造業者によって品質が一定でないことがあります。信頼できるサプライヤー選びが重要です。
アフターサービス
製品に問題が生じた場合のサポート体制が、国やブランドによって異なるため、購入前にサポート体制を確認することが重要です。
模倣品のリスク
高品質なブランド製品の模倣品が市場に出回っていることがあります。正規の販売ルートを通じて購入することが重要です。
中国製ベアリングは、コストパフォーマンスに優れ、世界各地で広く使用されていますが、購入時にはサプライヤーの選定や品質確認に注意する必要があります。
吉野では高品質な中国製セラミックベアリングを取り扱っております
取扱い製品一覧
現在中国製セラミックベアリングは信頼性が向上し、お客様より高い評価をいただいております。
オールセラミックベアリング(窒化ケイ素:ジルコニア)をはじめ、内外輪ステンレス+セラミックボールなど、お客様の使用環境、荷重・回転数・使用温度等に応じて、現地工場と打ち合わせを行い、その環境に適したベアリングを提供しております。
また、基本組合せのセラミックベアリングの場合、工場に部品在庫があるものは、10日から2週間ほどで納入可能です。ご用命の際は当社にご確認ください。
※サンプルは有償となります。
オールセラミックベアリング
転動体材質:窒化ケイ素(Si3N4) ジルコニア(Zro2)
内外輪材質:窒化ケイ素(Si3N4) ジルコニア(Zro2)
特徴: 耐磁性・絶縁性・耐磨耗性・自己潤滑性・耐熱性
セラミックボールベアリング
転動体材質:窒化ケイ素(Si3N4) ジルコニア(Zro2)
内外輪材質:ベアリング鋼・ステンレス
特徴: 高回転性・低騒音・長寿命
中国製セラミックベアリング
転動体材質:窒化ケイ素(Si3N4) ジルコニア(Zro2)
内外輪材質:窒化ケイ素(Si3N4) ジルコニア(Zro2)
保持器材質:PTFE(標準)・PEEK・PI・PA・セラミック他
特徴:耐薬品・耐水・絶縁・非磁性・耐摩耗性・自己潤滑性
項目 | 単位 | ベアリング鋼 | ステンレス鋼 | Si3N4 | ZrO2 | Al2O3 |
密度 | g/cm3 | 7.85 | 7.90 | 3.20-3.30 | 6.00 | 3.95 |
熱膨張率 | 10-8/K | 10.0 | 11.0 | 3.2 | 10.5 | 8.5 |
ヤング率 | GPa | 208 | 200 | 300~320 | 210 | 380 |
ポアソン比 | 0.30 | 0.30 | 0.26 | 0.30 | 0.22 | |
硬度 | HV | 700 | ----- | 1500~1800 | 200 | 1800 |
硬度 | HRC | 62 | 58~60 | 75~80 | 70 | 80 |
抗折力 | MPa | 2400 | ----- | 600~1200 | 950~1200 | 300~500 |
破壊靭性 | MPa-m1/2 | 25 | ----- | 6.0~7.0 | 10.0 | 3~4 |
熱伝導率 | W/m-K | 30~40 | 15 | 35 | 2~3 | 30 |
電気抵抗 | Ωmm2/m | 01~1 | 0.75 | 1018 | 1015 | 1018 |
耐酸アルカリ性 | 弱 | 弱 | 強 | 強 | 強 | |
磁性 | あり | あり | なし | なし | なし | |
絶縁性 | X | X | O | O | O |
保持器材質:POM・PP・PA・PBT・PTFE・PEEK・UHMWPE
特徴:耐酸アルカリ性・電気・熱絶縁性等に優れた特性があり、用途に応じた材質で製作が可能。
項目 | 呼称 | 耐水性 | 耐酸性 | 耐アルカリ性 | 耐溶剤性 |
POM | ポリアセタール | △ | △ | ○ | ○ |
PP | ポリプロピレン | ○ | ○ | ○ | ○ |
PA | ナイロン | × | △ | ○ | ○ |
PBT | ポリプチレンテレフタレート | × | △ | △ | △ |
PTFE | 四フッ化エチレン樹脂 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
PEEK | ポリエーテルエーテルケトン | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
UHMWPE | 超高分子量ポリエチレン | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |